解決策と相談窓口

サンディ・ホチキス『結局、自分のことしか考えない人たち――自己愛人間とどう付き合えばいいのか』(草思社、2009年)は、〈自己愛性パーソナリティ障害〉の人々との対峙の仕方をマニュアル的にまとめていますので、一部ご紹介しましょう。

  1. 「恥や不快感、怒り、とりわけ理想化を呼び起こす相手と一緒にいるときは、自分の感情に注意しよう。それは自己愛人間であることを示す格好の目安かもしれない。相手の正体がわかれば自分の身が守りやすくなる。」
  2. 「彼らの前で不快感や激しい感情を覚えるとき、過去のどの弱みのボタンが押されたのかを自問しよう。同じような思いをした過去の経験を思いだし、客観的な視点から自分の反応の理由を探ろう。怖がらずに彼らに対する自分の弱点を確認しよう。それによってこそ強くなれる。」
  3. 「彼らがあなたの中に誘発した、惨めな気持ちを切り離す方法を見つけよう。ときには、相手の精神構造が二歳児並だと思うことが役に立つ。」
  4. 「相手に復讐したい衝動を抑えよう。彼らに異議を唱えたり説教をしたりしないこと。」
  5. 「相手の人間性を変えられるとか、自分を思って変わってくれる、などと期待しない。対人関係から何かを学んで変わる人もいるが、そのためには思いやりには思いやりで応える能力が必要だ。彼らにはそれが欠けている。」
  6. 「自己愛人間に対する最善の対処方法は、そもそも彼らと深く関わらないことだ。」
  7. 「あなたが自分の弱点を認め、幻想や歪曲をしっかりと見破り、あなたを利己的に利用する相手から勇気を出して身を守れば、人生は変えられる。」

以上、恣意的に抜き出してみましたが如何でしょう。対策や関わり方などは、夫婦や上司などでは変わってくると思います。

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しかしまず、第一に言えることは、「自分自身を良く知ること」です。

特に「メランコリー親和型」の人は、人間関係に気を配る“いい人”が多いですから、他者のために時間の大半を遣い、自分自身を見つめなおしたり振り返ったり、心の弱点や幼少期の心の傷等に無関心というか気が付いてないまま、フタをしたまま、大人になってしまうことが多くありません。
つまり、自分自身の“心の弱点”良く知らないのです。

むしろ、“弱点”があることすらに気づいておらず、自分は精神的にタフな人間だと思い込んでいる人もいるかもしれません。

でも、それは違います。誰にでも欠点や長所があるように、誰にでも“心の弱点”は存在します。










ハート

近年、「うつ」やその他の治療法として、広く取り入れられている「認知行動療法」というものがあります。
精神科医の先生は、「うつ」を治してくれるわけではありません。

あくまでも良くなるよう手助けをしてくれたり、病状を悪化させないための環境づくりに奔走してくださったり、励ましたり慰めたり、自分の体を傷つける行為をした時には、愛情をもって叱って下さるだけです。

つまり、少しでも良い方向へ向かうよう、アドバイスをくださり、見守り続けて下さるのです。

「認知行動療法」とは、感情を伴う出来事や、その時のそれに対する自身の感情の動きや反応を記録し、その後考え直したことなどを記録していく治療法です。

 

「うつ」の治療の半分は、自身を良く知ることだと言っていいでしょう。つまり、自分自身をきちんと知っている人・分析できている人は、意外に少ないのだ、ということをまず知ってください。

  最後に相談窓口をご紹介しましょう。

・「NPO法人 結婚生活カウンセリング協会」
(http://www.mlc.ne.jp/category/moral.html)
TELL : 045-577-0051

・「職場のモラル・ハラスメント対策室」
(http://www.morahara.com/)

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 ※参考資料

・NHKドラマ『ガラスの家』
公式HP(http://www.nhk.or.jp/drama10/glass/)

・岡田尊司『母という病』(ポプラ新書、2014年)

・牛島定信『パーソナリティ障害とは何か』
(講談社現代新書、2012年)

・岡田尊司『愛着障害――子ども時代を引きずる人々』
(光文社新書)

・サンディ・ホチキス『結局、自分のことしか考えない人たち――自己愛人間とどう付き合えばいいのか』
(草思社、2009年)

・狩野力八郎監修『自己愛性パーソナリティ障害のことがよく分かる本』
(講談社健康ライブラリー、2007年)

・大野裕『心が晴れるノート――うつと不安の認知療法自習帳』
(太洋社、2003年)

・野村総一郎監修『「うつ」に陥っているあなたへ』
(講談社健康ライブラリー、2002年)

・和田秀樹『〈自己愛〉と〈依存〉の精神分析――コフート心理学入門』
(PHP新書、2002年)

・マリー=フランス

・イルゴイエンヌ『モラル・ハラスメント――人を傷つけられずにはいられない』
(紀伊国屋書店、1999年)