メランコリー親和型

先の実例にもあげた通り、「モラハラ」の被害者には共通点が存在します。いわゆる、「メランコリー親和型」と言われる人格の持ち主達なのです。「melancholy:メランコリー」とは、「憂鬱」という意味です。
つまり、「憂鬱と親和性が高い」性格という意味であり、決して褒め言葉ではない性格の分類名であるということです。神経症の「うつ」病以なりやすいと言われる人です。

  • 野村総一郎監修『「うつ」に陥っているあなたへ』(講談社健康ライブラリー、2002年)を参考にしながらあげると次のようになります。
    ①几帳面
    ②生真面目
    ③責任感が強い
    ④しっかりしている
    ⑤対人関係に細かく配慮する
    ⑥仕事熱心
    ⑦感情を引きずりやすい(ストレスを溜め込みやすい)

man07一見すると、一般的には「いい人」なのであるが、生真面目さや他者に対する誠実さとは裏を返せば、自分を犠牲にする“クセ”の持ち主ということです。つまり、限界を超えても頑張りすぎてしまうのです。

なぜこういう人が〈自己愛的変質者〉である「モラハラ」の加害者になりやすいか、というと「メランコリー親和型」の持つ特性や性格そのものが、加害者である〈自己愛性パーソナリティ障害〉の人々が決して持ちえない、獲得することの出来ない性格であるため、その存在そのものが羨ましくて、妬ましくて仕方がないのです。

だから〈自己愛性パーソナリティ障害〉の人々は、「メランコリー親和型」の人間に出くわすと攻撃し、傷つけ、支配し、屈服させずにはいられないのです。










〈自己愛性パーソナリティ障害〉の人々にとっては、「メランコリー親和型」の人間は、自身の存在を脅かす脅威でしかなく、彼らの脆弱で未熟な〈自己愛〉を刺激し、攻撃する存在でしかないからです。

woman02ただ、〈パーソナリティ障害〉の人には、様々な症状の出方をする方々がいることも心に留めておいて下さい。年齢を重ねるごとに改善していく人も中にはおられますし、きちんと稀ではありますが「病識」を持って治療を頑張っている方もいることでしょう。そして他の病気と同じように、重度の方もいれば軽度の方もいます。

そして、彼らがそのような〈パーソナリティ障害〉を抱えるきっかけは、やはり養育期の親との関係や家庭環境が大きく影響を与えていることも確かです。

 

彼ら自身も、親の被害者であるという側面を持っていることも確かですが、今すぐに「モラハラ」の苦しみから救われるべきは、被害に遭ってしまっているあなたです。

加害者は加害者で気の毒な方たちですが、彼らを憐れんだり自身を責めたりする前に、今すぐにその場から抜け出すなり、状況を改善する手段を講じなければなりません。

まず、救われるべきは「モラハラ」の被害者であるあなたです。加害者に対する同情や分析は、いつでもできるのですから。